この本は、東洋経済オンラインで 「ハイジ」にみる資本社会主義、という記事で一部が紹介されていたもの。東洋経済らしく(屁)理屈をこねているなとは思いましたが、全文読みたくて買ってしまいました。

 

他に「小公女」「若草物語」「赤毛のアン」「あしながおじさん」「秘密の花園」「大草原の小さな家」「二人のロッテ」「長くつ下のピッピ」について評論しています。

このラインナップを見ても、少女小説なるものは女子なら7割がた、男子ならあまり読んでいないとわかるでしょう。

小学生の時には当たり前のように、何も考えずに読んでいた少女小説に、実は様々な社会背景が投影されていると、ユーモアとややこじつけ?も含め教えてくれます。

 

同じバーネット作の「小公女」と「秘密の花園」には、イギリスのインド統治と階級社会の構図が見えるし、「ハイジ」では、スイスからドイツへの労働力移転が、ハイジとクララをつなぐきっかけとなっている(ジュネーヴはフランス語だけど、アルムの山村はドイツ語なのだろうか?)。男勝りの次女のジョーを主役とする「若草物語」の姉妹たちはジェンダー論の研究対象になりそうですね。

そして「あしながおじさん」。年上の男性が若い女性を自分好みに育てたいという願望は“ピグマリオン・コンプレックス”というのだと初めて知りました。源氏物語も「マイ・フェア・レディ」そうだし、男が小中学生女子を誘拐し何年も監禁する事件が、日本でも複数起こっています。

 

原作を知っていないと面白くないというところはあるが、電車の中で読むにはちょうど良いかもしれません。「二人のロッテ」「大草原の小さな家」はドラマ化で少し知っている程度なので、改めて小説で読んでみたいと思いました。