TOEICテストを終え、今期の芥川賞受賞作を読む。最近“暗い、救いがない、えっこれで終わりなの?なしまい方をする”のが定番になっている芥川賞だが、今回は初の障害者受賞だとかで何かと注目を浴びています。当事者小説というジャンルすら確立しそう。

 

車椅子以上に、いそくみの眼を引いたのは受賞者市川沙央氏の、山田詠美の登場時を思わせるおしゃれ番長っぷりでした。授賞式以外もいつも高価そうでハイセンスな服を着、つけている腕時計もメンズ限定モデルの超高級品だと話題になっていた。そしてどの写真も目線が決まっていて、もとから芸能人やモデルだったかのようです。

 

作品は筆者と重なる部分があり、ペンネームでエロ小説を書いて小遣い稼ぎをしつつグループホームに暮らす40代の障害者女性の日々だ。実家が大変な資産家で(グループホームは娘のために両親が建てた)お金には困らないが、自らの生理的欲求を持て余し気味。そこで一計を案じる…

障害者が書き手だと忘れてしまうくらい、語彙が豊かでユーモアのセンスがあふれる文体。いそくみめったにないことだが、使われている知らない単語を調べてしまいました。(「マチズモ」と「ルサンチマン」)。

 

この作品のテーマは、障害者の生活の描写や、障害者は本は電子書籍じゃないと読むのが大変とかいろいろありますが、(ないことになっている)障害者の性や(日本では遅れている)性的介助が大きな要素を占めていると思いました。あとで読む人のために詳しくは書かないが、若い男性職員にヒロインが持ちかける話は、ジャニーズ問題と似ていなくもない(相手は成人ですが)。

 

この小説に共感するのって、障害者もですがそれ以上に、「仕事も合コンも頑張っているのに彼氏いない歴〇年・・・」のおひとりさま女子じゃないか、という気がしました。このやり方は真似できないけれど。