「こもれびの庭」隣接のスパニッシュ様式洋館S邸(個人所有)や、既にみつ池緑地旧山田家住宅(一般公開)のように登録有形文化財になっているものは、ある意味安心して見ていられます。

その次の候補だろう…と思っていたN邸が、ついに建替え工事の看板が立っている!

 

 

すぐ近くの奥まった場所にある山田家住宅より交通量の多い、バス通りでもあるT字路の一角にあり成城のシンボル的存在といっても過言ではない。家主さんとお話ししたとき「昭和8年築」とお聞きしたような。成城学園に子どもを通わせるため移り住んできた世代だったことでしょう。この一角は水上勉の家や、丹下健三の家もあったと聞いている。いずれも今はマンションになっています。

看板によれば家主は変わらず、低層マンションに建て替えるようです。こういった近代名建築がどんどん失われていくのは惜しいことです。自治体が購入して、山田家住宅のように一般の見学場所にできれば一番良いですが、自治体もそうそうお金はない。

地域住民で保存活動が起きても、家主さんの都合もあります。品川の正田邸は所有者が存続を望まなかったし(建物は解体、庭園として一般公開)、豪徳寺の岡田邸は漫画家らが土地ごと購入して修復、尾崎行雄にゆかりがあったことから旧尾崎邸として利活用の準備中です。

 

所有者がそのまま土地を活用するのであれば、上物だけ公有地に移築することもある。成城にあった野上弥生子邸は、故郷臼杵市に移築されています。(現在は内部見学不可とのこと)

https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/191279

N邸は土地は現所有者が使い続けるのだろうし、せめて内観・外観を(できれば動画)撮影して残せないかと、区の担当所管と(一財)トラストまちづくりに打診してみました。

自分も区議会議員ではなくなってしまったが、合法的に(?)近代建築の保存活動が出来るよう、そのような活動団体に所属したいと思っています。

 

政治家なら、「自分がN邸の保存活動団体を作りました!」と華々しくぶち上げるのでしょうが、保存するのも解体するのも、自分は家主さんの気持ちが一番だと考えている。最近女優の鈴木京香さんが吉阪隆正建築”ヴィラ・クゥクゥ”を買ったように、保存したい個人(団体)が土地ごと買い上げるのが一番ですが、なかなかそうもいきませんね。

つい二週前、バイカウツギがきれいに咲いて、白い洋館とよく合っていました。

 

下は自治会主催で時々やっている昔の成城の写真展。これよりもう少し建築物にフォーカスした記録写真(または動画)を残したいものです。